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手紙。 [手紙]

先日、手紙を書きました。
その人宛の手紙は、これまで何度か書いたけど、
届けたものも、届けられなかったものも、破ったものも、あります。
お返事をもらったことはないです。

メールもあるけど、白く反射する平べったい画面に打ち込むと、
そこに並ぶ言葉がなんだか自分のものではないようで、
機械の作るきれいな文字がわたしではない者を演じるようで、
本当のわたしより強すぎて、正確な思いがうまく伝わらない。
そんな気がしまして。

便箋を取り出しました。

無印良品で買う一番シンプルな便箋なので、特徴もなにもないけれど、
A4の一回り小さなB5(だっけ?)のサイズはわたしにちょうどいい。
一枚の中身が、ちょうど、思いの一呼吸。
いつもは水性ボールペンの、水色や緑色やさくら色から
そのときの気分に添う色を選びますが、今回は鉛筆(シャープペンシル)で。
パソコンを使うようになって漢字がぜんぜん書けなくなったから、
どうせ間違う。
間違うたびにビリビリ便箋をちぎるより、消しゴムで直そうと開き直り。

おもしろいもので、手紙の下書きは、逆にスマホにしていました。
スマホのメモ機能に思いついたら書き、思いついたら書き足し、修正し、
それからおもむろに便箋に向かってシャープペンシルの芯をカチカチ。

いざ、文字を便箋に落とし始めると、これまたおもしろいのが、
スマホの下書き通りには書きたくないんです。
新しい文脈が浮かぶほどではないにしろ、表現がどんどん着地していく。

「まっすぐ」って、感じ。

スマホに書きなぐった感情的な言葉が、そぎ落とされて行くのです。
違う、言いたいのはそれじゃない、そこじゃない、と、
余計なものがふるい落とされ、真ん中のとこだけ残っていく。
手書きは面倒で疲れるから、あまりたくさんは書きたくなくなるってのもある。
意外と大事ですね、この感覚。

一通り書き上げてから、ちょこちょこと下手に直せないのも、手書きはいいと思った。
ちょこちょこ直すって、つまり、言い訳したり、つじつまを合わせたり、
自分を取り繕ったり演じはじめること。
スマホの下書きを放り出して途中から集中したインスピレーションを、
信じてみましょう。

手紙、手書き、しましょう。ぜひ、ご相談くださいね。
どんなにぐちゃぐちゃの思いも、この手でつづる言葉になって癒してくれます。

字の、大きさや形も、きっと、いい。汚いけど、いい。
いまのわたしそのまま。

無事に届いたでしょうか……。実は、わからないんです。
もうお返事はもらえないんです。そういう場所にいる人です。
一度くらい、ほしかったです。


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